イベントレポート

2022年06月01日

TOKYOの新たな伝統工芸を創出する「東京手仕事プロジェクト」。令和3年の開発商品が発表に

伝統工芸の職人とデザイナーなどビジネスパートナーがチームを組んで、東京らしい感性溢れる新商品を創出し、国内外に新たな市場を切り拓く「東京手仕事プロジェクト」。

平成27年度から東京都及び東京都中小企業振興公社の支援によりスタートし、今年で8年目。これまでに数多くの〝新たな伝統工芸品〟が誕生しています。

2022年5月24日には、東京・日本橋三井ホールにて令和3年度に開発された13商品を初披露する商品発表会が開催。特に優れた3商品には東京都知事賞、中小企業振興公社理事長賞、優秀賞が授与されました。

『職人圖鑑』編集部でも商品発表会を取材してきました。新商品の紹介を中心に、当日の様子をレポートします!

現代のライフスタイルに溶け込む〝新たな伝統工芸品〟が登場


江戸幸 勅使川原製作所の勅使川原隆さん(写真中)と藤田浩樹さん(写真右)、DOOGS DESIGNの中島保久さん(写真左)。

第一部は、令和3年度開発商品の商品発表が行われました。製作者(職人)とビジネスパートナーが登壇し、商品を御披露目。スピーチでは、開発秘話や商品に対する熱い思いを聞くことができました。

以下、全13商品をダイジェストでご紹介します。

(以下、敬称略)

【1】行灯/NIRAMI、BAKUROU(ニラミ、バクロウ)(江戸木版画)

版を重ねて完成させる木版画。その工程の一部の絵柄を抜き出して四面に描いた卓上インテリアです。

製作者:株式会社高橋工房 高橋由貴子
ビジネスパートナー:グッドアイデア株式会社 松田朋春

【2】つきみふじ(東京銀器)

酒を注ぐと杯の中に玉が浮かび上がる「玉杯」。こちらは、つきの玉杯とふじの玉杯をセットに。重ねるとパール富士を思わせるインテリアに。

製作者:株式会社森銀器 森将
ビジネスパートナー:Yu Nomura Design 野村悠

【3】銅 薬味おろし金 ふたやく(銅製おろし金)

両面で目の粗さが異なり1つで〝2役〟を兼ねるおろし金。受け皿がいらない小鉢型になっています。

製作者:江戸幸 勅使川原製作所 勅使川原隆・藤田浩樹
ビジネスパートナー:DOOGS DESIGN 中島保久・中島麻友子

【4】Komainu charms(コマイヌ チャームズ)(江戸木目込人形)


江戸木目込みの技法で細かく生地を埋め込むことで可愛らしい雰囲気の狛犬に。縁起の良いお守りアイテムとして飾れます。

製作者:株式会社柿沼人形 柿沼利光
ビジネスパートナー:AKIRA MABUCHI DESIGN 馬淵晃

【5】安来鋼包丁(ヤスキハガネボウチョウ)(江戸打刃物)

島根県で製鉄される稀少な金属〝安来鋼〟を用いた切れ味鋭い和包丁。刃は3種類、柄は9種類の銘木からセレクト可能です。

製作者:八重樫刃物製作所 四代目宗秋 八重樫潤一
ビジネスパートナー:REI DESIGN 眞鍋玲

【6】FRAME FRAME(フレーム フレーム)(東京額縁)


立体物を絵画のように飾ることができる額縁。お花やお気に入りのオブジェを飾って自由に楽しめます。

製作者:株式会社富士製額 栗原大地
ビジネスパートナー:toshiyuki kawada design 川田敏之

【7】Monpluie bouge(モンプリュイ ブージェ)(東京洋傘)


洋服とコーディネートしやすいよう外側はシンプルに、内側にパリの街角を描いて華やかに。雨の日も晴れの日も歩くのが楽しくなる傘です。

製作者:株式会社モンブラン 山口君枝
ビジネスパートナー:デザインラボ株式会社 深沢光

【8】KIRIKO Sqyeezer(キリコ スクイーザー)(江戸切子)

江戸切子のカット技術によって、絞りやすく美しい果汁絞り器ができました。そのまま置いてもすてきなインテリアに。製作者:有限会社鍋谷グラス工芸社 鍋谷淳一・鍋谷海斗
ビジネスパートナー:TAISEI MISHIMA DESIGN 三島大世

【9】籐扇子(東京籐工芸)

「かざり編み」や「巻き」という籐工芸の伝統技術と和紙を組み合わせた、美しく機能的な扇子。

製作者:木内籐材工業株式会社 木内秀樹
ビジネスパートナー:EETY 友岡洋平

【10】「月鏡華」手鏡(彫金)

金箔と銀箔を打ち込んだ江戸彫金で月下美人を刻んだ手鏡。鏡面に光を当てると、反射光が月を浮き上がらせる仕様に。

製作者:株式会社METALHEARTS 田村尚子
ビジネスパートナー:SPAZIO WORKS 鈴木尚和

【11】オリガミ bekko jewelry(ベッコウ ジュエリー)(江戸鼈甲)


薄く加工したべっ甲を切ったり折ったりすることで、今までにない風合いのアクセサリーにしています。

製作者:株式会社イソガイ 磯貝剛
ビジネスパートナー:kawabuchi design office 川渕好美

【12】Edo komonKATAK”ATA(エドコモン カタガタ)(東京染小紋)

3種類の小紋柄を組み合わせて手染めした江戸小紋のバッグ。アクリルチェーンでカジュアルに、洋装によく似合います。

製作者:有限会社石塚染工 石塚久美子
ビジネスパートナー:本多り子・山中結夏子

【13】DOMYOベルトシリーズ(ベルトスタンダード、サッシュベルト)DOMYOカードケース(組紐)

組紐と革素材を組み合わせたベルトシリーズとカードケース。現代の感覚にマッチした「EDOの粋」を感じるファッションアイテムです。
製作者:株式会社道明 道明葵一郎
ビジネスパートナー:tokyo toff 大河なぎさ

東京都知事賞は「Monpluie bouge(モンプリュイ ブージェ)」(東京洋傘)

受賞作品の製作者とビジネスパートナーの皆さん。

第二部は、優秀賞の授賞式。中小企業振興公社理事長賞は、「Edo komonKATAK”ATA(エドコモン カタガタ)」(東京染小紋)、優秀賞は「銅 薬味おろし金 ふたやく(銅製おろし金)」、そして、最優秀賞となる東京都知事賞は「Monpluie bouge(モンプリュイ ブージェ)」(東京洋傘)が受賞しました。

中小企業振興公社理事長賞「Edo komonKATAK”ATA(エドコモン カタガタ)」(東京染小紋)

優秀賞「銅 薬味おろし金 ふたやく」(銅製おろし金)

東京都知事賞「Monpluie bouge(モンプリュイ ブージェ)」(東京洋傘)

「Monpluie bouge」は、三つ折りではかなり大きい55cmの8本骨傘ですが、〝関東縫い〟という精密な中縫いを施しているため丈夫に仕上がっています。

傘の外側は、どんなファッションにも合うように単色に。内側は、傘を差さしている人が見上げると楽しい気持ちになるように華やかなパリの街角が描かれています。

傘カバーに加えて、傘がすっぽり入るポーチも付いていて、持ち運びもラクラク。傘の裏地と同じ絵柄で、持ち歩きたくなるおしゃれなポーチです。

「雨の日も晴れの日も移動を楽しんでもらいたい」という、製作者である株式会社モンブランの山口君枝さんのスピーチが印象的でした。

山口さんには、以前、『職人圖鑑』でも取材させていただいたことがあります(記事はコチラ)。東京洋傘は、日本古来より着物に用いられてきたほぐし織りの布を使って、職人さんが1本1本手作りで作っています。工程も多く細かい作業が続き、特に、柄を合わせながら縫うのがとても難しいそうです。

今回の受賞作を拝見して、改めて、その技術の高さに、そして、使う人を楽しませたいというその心意気が隅々まで行き届いたものづくりに心揺さぶられました。

6月1日より「日本百貨店にほんばし總本店」にて販売開始

「日本百貨店にほんばし總本店」にて6月1日より販売開始。

今回、発表された商品は、6月1日より「日本百貨店にほんばし總本店」にて販売開始となります。同時に、「東京手仕事」プロジェクトの支援商品を展示・販売する「東京手仕事展」も開催されます。

ぜひ、この機会に、足を運んでみてはいかがでしょう。暮らしをもっと楽しく豊かにしてくれる、東京の〝新たな伝統工芸品〟との出会いが待っています。

取材協力:東京手仕事プロジェクト
文・写真:職人圖鑑編集部

職人圖鑑編集部

『職人圖鑑』編集部による記事をお届けします。

関連タグ

この協力者の他の記事を見る

このライターの詳細へ

最新記事

もっと見る